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Bodleian Libraryに "MS. Arch. Selden B. 26" という写本がある。これはイギリス起源の5つの別々の手稿が、1660年頃に一つにまとめられたもので、最初の手稿(fols.3-33)が多声音楽の楽譜である。それらは'15世紀の2番目の四半世紀(1425-1450)'のものとある。この多声音楽の楽譜は、"The Selden Carol Book"とか、単に「セルデン写本」とか呼ばれるもので、ポリフォニー・キャロルの主要な資料の一つとされる。15世紀前半の資料としては、"Trinity Roll"と呼ばれる写本と並ぶ重要なものである。なお、セルデン写本にはキャロル以外の音楽も含まれいる。この写本の中には、様々なアンソロジーやキャロル集にとられ、しばしば演奏される有名曲が多数含まれている。
中世においてキャロルとは、英語またはラテン語で書かれた複数の同形のスタンザ(stanza, 節)を持つ歌曲のことを指し、曲は「バーデン(burden)」と呼ばれる反復句で始まり、それは各スタンザの後でも繰り返されるという構成を持つ。
burden が反復句の意味に使われるようになるのは16世紀以降である。、14世紀頃から英語において「最低声部」を意味する burdon, bordoun, burdon, burdowne という語があり、そこから単旋律聖歌の和声化の技法の名称であるファバードン faburden という語が生まれ、さらにそこから burden=反復句という用法が派生した、という筋書がある。内容は中世においては、聖母マリアに関するもの、聖人に関するもの、クリスマスに関するもの、政治的なものなど様々であった。 (これが16世紀中葉以降には、クリスマスに関する民衆的な歌曲に収斂していく。)
起源は宮廷のあるいは民衆的な舞踏歌で、12世紀から14世紀に普及したフランスのカロルと関係するといわれている。14世紀前半の文献にはキャロルに合わせて踊ったという記述が多数あるが、14世紀後半になると、単に行列の行進に合わせて歌われるだけの祝祭歌に変わっていっく。ちなみにフランスのカロルは一曲も現在に残っていない。また、民衆のあいだで、あるいは宮廷で歌われただけでなく、教会における典礼で行列歌として使われていた可能性もあると言われている。根拠として、まず詞自体が行列聖歌と類似していること、また15世紀の多声のキャロルについては、1音対1音の様式、詞のシラビックな処理、スコアへの記譜、定旋律の欠如などがコンドゥクトゥス(典礼で用いられた行列歌)と似かよっていることが挙げられている。 (まうかめ堂さんより)
『セルデン写本』 ◇公開日: 2011年06月13日 |
キャロル ◇再生:
high / normal / low ◇演奏時間: 5分14秒 ◇公開日: 2011年06月13日 (J) |
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